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登場人物
ヴィラル
(エンキドゥドゥ=エンキと略)
シモン
村人の少女
少女の母
反乱軍(村人、野良獣人)
大グレン団の面々
○ 岩山に隠れた村(昼)
少女N『はじめてお空を見たの』
顔が煤で汚れ、ボロボロのマントを
纏った少女。目が覚めるような青が
瞳に映り込み、瞳孔が開く。
母「…っ! …ちゃん!!」
少女「(振り向いて)ママぁ?」
ハッとする少女。
少女の目には息を切らして向かっ
てくる母と、その後ろから襲い掛か
ってくる数十発のミサイルが映る。
母「(顔を歪ませて)逃げてぇええ!!」
その時、一閃の衝撃が走ると目の前
まで迫ったミサイル群がスパッと
真っ二つに割れ、少女と少女を抱き
締める母の横を通り過ぎて行く。
後方で爆発。そこにシルエットで浮
かび上がる刀を構えたエンキの姿。
きょとんとする少女、後方を見上げ
るとエンキの鋭い視線が少女を睨
み付ける。
少女「あっ!」
ぱぁっと明るくなる少女の表情。
少女OFF「ギザギザのお兄ちゃん!!」
歯をむき出してムスッとした表情
を浮かべているヴィラル。
ヴィラル「チッ」
タイトル『私のおひさまのお兄ちゃん!』
兵士「降伏しろヴィラルー!」
ハッとして少女と母の盾になるよ
うに身構えるエンキ。
少女N『ギザギザのお兄ちゃんは半月前ぐ
らいに私たちの地下の村へやって来た』
地平線から新しいグレン団(軍隊の
前身)が銃を提げてゆっくりと歩
んで来る。
少女N『そこに何度も何度も、怖くておっ
きなロボットが来るの』
そして再び無数のミサイルが発射
される。
ヴィラル「クッ、低能な成り上がり戦士ど
もめ…」
シモンOFF「バカヤロウっ」
グレンラガンのドリルがその全て
のミサイルを薙ぎ払う。
壮絶に爆発し、爆風が少女と母を襲
う。流れてくる黒煙と砂煙。少女を
かばって抱き締める母。まっすぐ前
を見つめる少女。
砂塵の中に現れるグレンラガンの
堂々たる立ち姿。
シモン「俺たちは戦争しに来たワケじゃな
いんだぞっ」
母「さ、早く隠れなきゃ」
少女を抱えて岩陰へと走る少女。
少女N『でも、あのロボットだけはギザギ
ザのお兄ちゃんと同じであたたかく感
じるの』
反乱軍の兵隊がグレンラガンの前
に立ち塞がる。睨み付ける村人たち。
シモン「お願いだ、みんなのためにも…」
村人A「アンタが何度説得に来ても同じ
だ! 俺たちは町には移らねぇっ」
村人B「私たちは私たちでひっそりと暮ら
したいだけなの!」
グレンラガンへ一斉に銃口を向け
る獣人ガンメンと村人数名。
少女N『あのロボットのお兄ちゃんは、私
たちを地下の村から新しく作った町へ
来て欲しいみたい。でも…』
怯えて震える母。少女、母の表情を
見ると顔を曇らせてぎゅっと抱き
着く。
ヴィラルOFF「貴様には何も見えないの
か…シモォオオオオオオオン!!!!」
ハッとする少女、岩陰の僅かな隙間
からエンキとグレンラガンの死闘
を覗く。
少女N『でも大丈夫! ギザギザのお兄ち
ゃんがいつも私たちを守ってくれる
の!!』
2人の戦いの激しさが増し、次第に
少女と母の居る岩陰に近付いて来
る。ぎゅっと少女を抱き締める母。
そしてエンキがグレンラガンに飛
び込んだ時、足下に少女と母が居る
ことに気付いてバランスを崩して
しまう。
ヴィラル「クッ」
シモン「!?(手を止める)」
次の瞬間、グレン団支援機からの射
撃を受けて吹っ飛んで行くエンキ。
ヴィラル「ぐぁあああああああっ」
少女「ああっ!」
機体が壮絶に地面へ叩きつけられ
るとコクピットから投げ出される
ヴィラル。
ヴィラル「う…く……」
少女「(母の手を離れてヴィラルに駆け寄
り)ギザギザのお兄ちゃーん!!」
ヴィラルの頭を抱きかかえる少女。
そこへ上着を翻して歩いて来るシ
モン。
ヴィラルをかばう様に立ち塞がる
少女。
少女「ぎ、ギザギザのお兄ちゃんには何も
しないでっ!」
シモン「(戸惑って)ぎ、ギザ? 何でギ
ザギザ?」
少女「(半べそで)…歯が」
シモン「ああ…ははっ、なるほど」
少女「笑うなぁ! 私だってココにギザギ
ザあるもんっ」
犬歯を見せる少女。
シモン「(少女の頭をポンと撫でて)じゃ
あ君も強いんだな」
少女「つ、強いよ…お兄ちゃんも強い?」
シモン「ああ、そいつもめちゃんこ強いや」
ニッと笑うシモン。
ヴィラルから離れて母の元へ向か
う少女。
少女N『あのお兄ちゃんの手も、あたたか
かった』
目が覚めるヴィラル、即座に身構え
てシモンと対峙、会話を交わす。
そんな2人の様子を遠目にこっそ
りと見つめる少女。
少女N『でも、やっぱりギザギザのお兄ち
ゃんはいつもみたいに怒ってる…』
そして去って行くシモンたち。
強張った表情を浮かべ、腕を組んで
佇むヴィラル。
少女、その様子を見ると何かを決心
してヴィラルに駆け寄って行く。
少女を睨み付けるヴィラル。
そんなヴィラルにもじもじしなが
ら後ろ手に隠していた(ニアの瞳を
思わせる)一輪の花をずいっとヴィ
ラルに差し出す少女。
少女「あ…ありがとう!」
にっこりと微笑む少女。
ヴィラル、その笑顔を見ると険しか
った表情が穏やかになる。
ヴィラル「…ああ」
もう一度微笑んで母の元へと走っ
て行く少女。
ヴィラル「なぁ!」
少女「え?」
ヴィラル「どうして…俺を名前で呼ばない
んだ?」
少女「だって、お兄ちゃんいつも名前を呼
ばれる時ムスッとしてるんだもん」
ヴィラル「ああ…そりゃ、嫌な奴らばかり
にしか呼ばれないからな」
少女「…私が呼んでも怒らない?」
ヴィラル「(不気味に微笑んで)母の言う
事をちゃんと聞いていればな」
少女「うん! 分かった!! ヴィラルお
兄ちゃんっ」
楽しげに母の手を引いて走る少女。
それを少しほころんだ表情で見送
ると背を向けるヴィラル。手に持っ
た花をくるくると指で回す。
少女の視界に光が満ちる。
太陽が少女たちを照らす。
満面の笑みを浮かべる少女。
少女N『やっぱり、ヴィラルお兄ちゃんが
一番あたたかい!』
暗転。
T『人類殲滅システム作動まで、あと――』
■END■
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