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■タイトル『いんじぇねれいしょん』
・元作品:こみっくパーティー
・制作日数:不明
・メモ:『i・n・g』の続編。てか元々一緒に作ったモノ。ここから詠美の物語が始まる。
“ing”にプラスした話だから文字を足して“in generation”

登場人物
   千堂和樹(19)
   大庭詠美(18)
   長谷部彩(18)
   九品仏大志(19)
   猪名川由宇(20)


○ 住宅街の通り(雨上がりの午後)
   強張った顔で汗だくになりながら猛然と
   走ってくる千堂和樹(19)。
和樹M『全てがいつも通りだった』
   ひた走る和樹。
和樹M『〆切りは近いし、あんまり寝てないし、
 彼女は自分勝手だし、わがままだし、一方的だ
 し……』
   その手にはイルカのネックレスが握られ
   ている。
和樹「わかってる、わかってるのに……!」

タイトル『いん・じぇねれいしょん』

○ 和樹の部屋・回想(午前)
詠美(OFF)「帰る」
   ムスッとしながら玄関に向かう大庭詠美
   (18)。
   座机にはやりかけの原稿と画材一式。
和樹「(椅子を回転させ振り向き、やつれ顔で)ど
 うしたんだよ急に」
詠美「(靴を履きながら)別にあたしはあんたのア
 シやりに来てるわけじゃないの! なんでせ
 っかくの休みにまで原稿やってなきゃいけな
 いわけぇ!?」
和樹「(気だるそうに溜め息を吐き)……仕方ない
 だろ」
詠美「(カチンときて)そお。ならあたしやっぱり
 どおじんかつどうなんかやめるぅっ!」
和樹「あーあーソーデスカ。でもこみパのくいー
 んが同人やめて何か他にやることあるんです
 かァ?」
   詠美、歯を剥き出して怒りながらドアを開
   けて出て行こうとする。
和樹「(机に向き直って)あ、出てくついでにトー
 ンの65番買ってきて」
   詠美、下唇を噛み胸元に隠れていたネック
   レスを引きちぎって和樹の足下に投げつ
   ける。
詠美「(涙ぐみながらキッと睨んで)ほんとに……
 やめてやるんだから」
和樹(OFF)「……勝手にしろよ」

○ 駅前商店街朝日通り(夕方近く)
   肩で息しながら自販機にもたれ掛る和樹、
   コーヒーのボタンを押す。
和樹「(取り出しながら)げっ」
   取り出した缶のラベルにはメッコールの
   文字が輝いている。
和樹「そ、組織の陰謀だ……」
   せわしなく歩いていく人々。
   和樹、沿道に腰掛けて空を仰ぎ溜め息一つ。
   不快そうに口の中を舌で探る。
和樹「昼っから何か挟まってるんだよなぁ……ち
 くしょう」
   また溜め息をつくと体を前に起こす。
   缶のプルタブに指を掛けた時、遠くにアニ
   メショプの袋を抱えた九品仏大志(19)の
   姿を見つける。
   和樹、手を掲げて呼びかけようとするが大
   志の横に付いて歩く猫耳しっぽ付きの長
   谷部彩(18)の姿を見つけてやめる。
   楽しげに話しながら歩いていく二人。
和樹「……恋、しちゃいましたか」
   和樹、暫く何か考え込むと突然スクッと立
   ち上がり更に激しく口の中を舌で探る。
和樹「(プルタブをヤケ気味に開けながら)ああー
 ちっくしょう!」
   一気に飲み込む。
和樹M『中途半端に挟まってるのが一番、気持ち
 悪い』

○ 駅前商店街夕焼け通り(同刻)
   口の中に含んだ飲み物を思い切り吹き出
   す詠美。
詠美「(缶を持った手を目一杯離し)な、ナニがう
 ぃーらぶよ! 誰が愛せるって云うのこんな
 劇物ぅ!!」
   眉をしかめ口の中を舌で探る。
詠美「昼に食べた変なのと云いコレと云い…ぱん
 だのやつ、こんなものススメてあたしにいっぷ
 く盛ろうってこんたんね」
   更に口の中をイライラしながら舌で探る
   詠美。
詠美「あーもお! 昼からずっとナニカ挟まって
 取れないーっ」
   思い切り缶を投げ飛ばす詠美。
   内容物を撒き散らしながら飛ぶ缶。
T『注:毒物の散布は犯罪です』
   が、壁にぶち当たり跳ね返って詠美の頭に
   直撃する。
詠美「ふみゅ!(頭を押えてうずくまり)む〜……
   ぱんだぁ!」
   怒りの最中、ふと思い耽る。
   回想……
     ×    ×    ×
由宇(OFF)「でも、どーにかなってもうたんは
 アンタかて一緒やろ」
詠美「え?」
由宇「和樹と組んで色々あって……(詠美の頭を
 撫でながら)こない素直なコになるなんて……
 なァ?」
   ニタリと笑う猪名川由宇(20)。
詠美「(少し身を引き)な、何よお」
由宇「(顔を寄せて囁く)どないな調教された
 ん?」
詠美「(赤面して暴れ)ばば、ばっかじゃないのえ
 ろぱんだあ! ちょ、ちょおきょおってあんな
 事やこんな……!」
   一人で舞い上がる詠美。
   その様子を微笑んで見つめる由宇。
由宇「詠美!」
詠美「?」
由宇(OFF)「ええ恋しぃや」
     ×    ×    ×
   壁際にうずくまっている詠美。
詠美「(遠い目をして)……わかってるわよ」
   流れ行く人々の合間に遠巻きに歩いて行
   く大志と彩の姿を見つける。
詠美「(立ちながら)あ、彩……」
   その時、目前を和樹が駆け抜けて行く。
和樹「(宙を見て)詠美ぃーっ!」
   驚いて目でその姿を追う詠美。
詠美「和樹……あたしを、捜して?」
   詠美、消え行く和樹の後ろ姿を追うように
   二三歩駆け出すがすぐに止まる。
   考え込む様に目を伏せて口の中を舌で軽
   く探る。
詠美「……気持ち悪い」
   キッと和樹の駆けて行った方を向く。
詠美「こんなあたしになったのはあんたのせいな
 んだからぁ!」
   驚く辺りの人々。
   どことなく笑む詠美。
詠美「ちゃんとお礼、云わなくちゃ」
   フッと息を吹き出すと和樹の駆けて行っ
   た方へ走り出す。

○ 公園(夕方)
   日はかなり傾いている。
   汗だくで前屈みになり喘ぎながら辺りを
   見回している和樹。
   母親に手を引かれ帰って行く子供たち。
詠美(OFF)「和樹っ!」
   声の方に振り向く和樹。
   猛然と走ってくる詠美。
和樹「詠美……」
   和樹に真っ直ぐ向かって行く詠美。
   和樹、受け入れようと腕を伸ばすが一向
   にスピードが落ちないので焦る。
   ふわりとスカートが捲れて肢体が露わにな
   る、少しパンチラ。
   和樹、それに釘付けになる。
   が、次の瞬間、詠美のジャンピングニーが
   和樹の顔面に炸裂!
   でも悦楽の表情を浮かべて吹っ飛んで行
   く和樹。
和樹「(鼻を押えて)何故にっ!?」
詠美「(喘ぎながら)いや『青春と云えば飛び蹴り
 だろ』って天のささやきでつい…いや、ヒザだ
 ったけど…てか、そうじゃなくて……」
   暫しの沈黙。
   ブランコの方へ歩いて行く詠美。
   ブランコの下には小さな水溜りがある。
詠美「(少し強めに)夏……早く夏、来ないかな」
和樹「……どうして?」
詠美「(ブランコに腰掛け)だって今の季節って暑
 くもないし涼しくもないし…なんかぬるいっ
 て云うか、まるで……」
   ふと哀しげに和樹を見つめる詠美。
   そよ風が吹いて緑の木々が揺れる。
和樹「(ネックレスを渡しながら)わかってる。(詠
 美のブランコに立ち乗りして)俺、決めた。俺
 も同人やめる。詠美はやめない」
詠美「(吹き出して)なによそれぇ」
   二人とも口の中を舌で探りだす。
和樹「あ、もしかして昼にアレ食べてない?」
詠美「あんたも? ぱんだに勧められたきかんげ
 んてい藤の屋のみで発売の……」
二人「宇宙おにぎり関西風味!」
   暫しの沈黙後、爆笑する二人。
和樹「昼からずっと引っ掛かってたんだよ」
詠美「そうそう、あたしも」
和樹「少し……楽になったけど」
   ふと見つめ合う二人。
和樹M『全てがいつも通りだ』
和樹「(詠美の頬に両手を添えて)口、見せてみ。
 取ってやろうか」
詠美「(顔を赤らめ)いいわよばかぁ。は、恥かし
 いじゃない」
   恥かしげに口を開ける詠美。
和樹M『〆切りは近いし、また眠れもしない』
   右とかもうちょっと奥とか指示をだす和
   樹。
   詠美、それに従って舌を動かすがいちいち
   文句をつける。
   視線は宙を彷徨っている。
   グッと顔を近づけ合う二人。
和樹M『そして彼女は自分勝手だし、わがまま
 だし、一方的だし、意地っ張りでも、ときどき
 素直で、かわいいし……』
詠美「(笑んで)とれたぁ!」
   そのまま見つめ合う二人。
   詠美、和樹の腕を掴んでグイッと体を入れ
   替える。
詠美「今、変なこと考えてたでしょお」
和樹「……別に」
   詠美、和樹の頬をつねって引っ張る。
詠美「今度はあたしが教えたげる」
和樹M『俺、好きだし』
和樹「(口を開けて)どうら〜?」
   覗き込む詠美。
   奥で何か蠢いているのが見える。
詠美「(ゾクッとして和樹に掌底を喰らわして身
 を引き)ふみゅ!?」
和樹「(舌を思い切り噛み)ぺっ!?」
詠美「(後退りしながら)なな何か動いてるぅ〜」
和樹「ええ!? 何が? ナニガッ!」
   擦り寄る和樹。
   思い切り逃げ出す詠美、それを追う和樹。
詠美「来るなぁ! えんがちょえんがちょお」
   水溜りも気にせず笑顔で駆け回る二人。
和樹M『大好きだし』
詠美「(ふと立ち止まって)かわいいかのじょのた
 めに一日中かけ回るってのも悪くないでしょ」
和樹「(空を見上げ)ああ……〆切り近いけどな」
   詠美、ムッとして和樹の鼻を指で弾く。
   反射的に目をつむる和樹。
和樹M『でも……』
詠美「(背を向けて)あたし、漫画描くの好きだけ
 ど……和樹のこと、もっと好き」
和樹「え?」
   振り向く詠美。
   その時、一陣の風が通り過ぎて緑が舞う。
   差し込んだ日の光で押えている詠美の髪
   がなびく度に煌いている。
   その様子に見入る和樹。
和樹M『その緑を見てドキドキするのは、たぶん、
 夏が近いからだと思う』
   太陽を正面に後ろ向きで横に並ぶ二人。
和樹「夏になったら、海へ行こう」
詠美「あたし、イルカさんみたくかれーに泳げる
 わよ」
   小指を繋ぎ合う二人。
和樹「……ぜったい沈むだろ」
詠美「ふふん! ちゃんと25めーとる泳ぎきれ
 るんだからあっ」
和樹「ビート板なしで?」
詠美「な……なしでよ」
和樹M『ナツガクル』

                      了


■マテバのつぶや記:『i・n・g』に続いて低空飛行なドライブです。
この時はホント、漫画としての見せ方ではなくて“物語”を語ることに必死ね。
どうしても絵ではなくて言葉で進めてしまう…それはマズイ。
言い方を変えよう。“バーニアの”漫画だとマズイ。
今もまだ軌道修正中デス。

■帰る■


 

 

     

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